どうしようもないくらい好きでした(仮)



「美容師さん? いいじゃない。
ほら、ななちゃん小さい時にお人形さんの髪、よく結って遊んでたもの」


祖母が懐かしそうな顔をした。


そうだった。
私もよく覚えている。


まだ小学生だった頃に、祖母の家で過ごした時間。
私が一番好きだった遊びだった。


三つ編みや編み込み。
それを私に教えてくれたのは、他でもない祖母だったのだから。


人形のテラテラと光る金色の髪を、あっという間に器用に結っていく祖母の指先を、私は祖母の隣りにちょこんと座り眺めてるのが好きだった。






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