どうしようもないくらい好きでした(仮)
そして龍さんもまた、彼女の期待に応える為、旅を辞め、スタジオを開き、こうして一家の主として家族を支えて見守っている。
「奥さん、素敵な人なんですね」
「ああ、まあね。良い女だと思うよ」
何だか照れたような顔がとても可愛くて、思わずクスリッと笑ってしまう。
店の外まで見送ってくれた龍さんは、もういつもの龍さんに戻っていたのだけれど。
「七海ちゃんも自信持ちなよ。
陸が惚れた女なんだからさ。相当、良い女だと思うよ」
そう言ってニカッと笑う。
龍さんの言ってくれた言葉は、私の背中をしっかりと後押ししてくれているように感じた。
素直に嬉しかった。
そして、無償に陸に会いたくなった。
* * *