どうしようもないくらい好きでした(仮)
「手紙が届くまで時差があるだろ?
今回はいつ帰国するかもはっきりしてなかったし。
だから後半はあえて手紙書かなかったんだ。
だってさ…最悪、帰国してから自分で自分の手紙受け取る事に成りかねないと思っちゃってさ」
「はっ?!どうゆう意味?」
要はこういう事だ。
『淋しい』だの『会いたい』だの。
その時の感情で書いた手紙。
勿論、その気持ちにも言葉にも一つの嘘
はない。
それでも届けられる手紙は、その時差によっては陸の帰国よりも遅れる場合があった。
帰国してから数日後。
幾らか冷静になった自分が、そんな恥ずかしい言葉が並んだ手紙を自分でポストに発見してしまったら…。
陸はそんな自分を想像し、手紙を送ることを躊躇ったらしかった。
「それに、後半はもう『淋しい』の連呼になりそうで。
ななちゃんに女々しいって思われる気がしてさ」
そんな理由。
思い付きもしなかった。
私達の間にあった物理的な距離は、陸にそんな心配をさせていたのだと初めて知る。
「だから、ごめん。俺のせいなんだ」