どうしようもないくらい好きでした(仮)



「明日から夜勤だからね」

「わかった」


テレビの画面を見ながら返事をする。
こんな風にリビングで母と過ごす時間も、最近では当たり前になってきた。


「七海、あんた突然心でも入れ替えたわけ? 毎日、毎日、こんなに早く帰宅して」

「別に。自分の家に帰ってくるのに理由なんていらないでしょ」

「まあね。それはそうだ…」


母にしてみれば、私の行動が不思議でならないのも無理はない。


毎日遅くまで遊びまわり、平日だろうが週末だろう、お構いなしに泊まり歩いていた娘が、ある日を境に突然変わったのだから。






< 35 / 263 >

この作品をシェア

pagetop