どうしようもないくらい好きでした(仮)
「お風呂入ってくる」
私は立ち上がると自分の部屋に向かった。
「わかった! 七海、男変わったでしょ?」
おもむろに放った母の言葉に、思わず動きが止まる。
「やっぱりね。図星でしょ?」
振り向いて見た母の顔は、これでもかと言うほどのドヤ顔だった。
「雅樹くん、可愛かったのに。お母さん、結構好きだったなあ…」
「ふーん。そうだったんだ」
「で、何で別れたの?」
「別に…。ただ、陸のが良かったから」
それだけ言うと、まだ何か言いたそうな母を残して自分の部屋に入った。
* * *