どうしようもないくらい好きでした(仮)
陸と出会った時、私には彼氏がいた。
同じ高校に通う、同級生の彼氏。
付き合いだしてから、半年程たっていたと思う。
まだ少年らしさの残る華奢な体。
くっきりとした黒目がちな目が、時々悪戯っぽく笑う。
愛しさで切なくなる程…とは言えないけれど、私はそれなりに彼の事が好きだった。
それでも、どうしても満たされない気持ちは、この先どんなに雅樹との関係が続いていても消える事はなかったと思う。
そしてあの日、そんな私の心の隙間に、スルリと陸が入り込んでしまったのだった。
それはあまりにも唐突で。
それでいて、ずっと待ち望んでいたものだったのかもしれない。