どうしようもないくらい好きでした(仮)
前腕部から肩。
肩から鎖骨。
鎖骨から胸に。
そして脇腹、背中へと続く流れるような鋭い曲線の連なり。
刺々(トゲトゲ)しさと、流麗な厳めしさを兼ね備えた抽象的で力強い模様。
陸の体は、黒一色で描かれたトライバルといわれる刺青で覆われていた。
始めて陸の体を見た瞬間の衝撃は、忘れることなどできないだろう。
こんなにも緻密で、繊細な痛みを抱えた彼の体に、私は一瞬で引き込まれてしまったのだから。