どうしようもないくらい好きでした(仮)



それが、いつからだっただろうか…。


『ピアスホールを開ける』
という行為事態に、どこか執着のようなものを感じ始めたのは。


特に何があった訳でもない。
むしろ何もない時間や空間が、衝動的に私の意識を動かしていた。


耳に穴を開ける。
もちろん、痛みもあれば流血もした。


鼓動とリンクするジンジンと鈍い痛みは、なぜか私の心を落ち着かせた。


ホールが完全に出来上がるまでは、1ヶ月以上かかる。
赤く腫れ上がった耳たぶが正常に戻るまで、私は慎重にその傷を扱った。
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