どうしようもないくらい好きでした(仮)
「こんな所で会うなんて珍しいね」
とびっきりの笑顔で。
私は久しぶりに雅樹に向かって声をかけた。
別にそんな事せずに通り過ぎる事もできただろう。
それでも私がそうしなかったのは、彼がここにいることを偶然としたかったからだ。
「七海こそ、こんな所で何してんの?」
「私、割とここ通るから」
「へー、そうなんだ」
彼がここで何をしていようが、誰と居ようが少しの興味も湧かない。
弾む会話など期待している訳でもなかった。
ただ、偶然ならばそれでいい。