どうしようもないくらい好きでした(仮)
愛想笑いも楽じゃない。
適当に会話をそらし、私は勝手に終わりの空気を醸し出した。
「じゃあ、私急ぐから」
そして返事も聞かずに歩きだす。
一秒でも早くこの不自然な空間から抜け出したかった。
まだ起きたばかりで、眠そうに目をこすりながら優しい笑顔で向かい入れてくれる。
もしくは、まだベットの中で規則的な寝息をたてながら眠りについているのかもしれない陸に抱きつき、たった今私の体に纏わりついた小さな不快感をぬぐい去ってもらいたかった。
それが私の心に浸食し、覆われてしまう前に…。
私の世界に、陸以外の他人など必要ないのだから。