どうしようもないくらい好きでした(仮)



その日私は、軽い倦怠感の中微熱を出した。


陸に言われるまま体温計を脇に挟んでベットに横になる。
陸の大きな手がおでこにふれると、少しだけ冷たくて気持ちがいい。


「急に寒くなったから、風邪ひいちゃったかもね」


心配そうに見つめている陸の顔があまりにも近すぎて、ドキリと胸が疼く。
さらに熱が上がってしまう気がした。


陸の言うように、急に寒さの増した冷たい11月の陽気のせいなのか。
それとも、先程感じた不快感に早くも浸食され、もはや手遅れであったのか…。


どちらにしろ、私の体はほんのりと熱を帯び始めていた。

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