どうしようもないくらい好きでした(仮)
助手席から眺める陸の横顔は、何だか特別な気がして好きだった。
見慣れた自宅までの道のりは、いつもあっという間に過ぎてしまう。
本来なら今日は、陸の行き着けの雑貨屋に連れて行ってもらう約束になっていた。
それなのに、あと数分もしたら家に着いてしまうのだ。
淋しさのあまり、車内では口数が少なくなってしまう。
時々心配そうに見つめる陸の視線が、余計に淋しさを増幅させた。
それでも、少し外気に触れたせいか、体の火照りは多少治まってきたように感じていた。
案外家に帰ってみたら、熱などすっかり下がってしまっているかもしれない。