どうしようもないくらい好きでした(仮)
この空間に見慣れない陸の存在。
陸が自分の部屋に居るという事が、少しだけ不思議に思える。
私はベットに腰掛けると、その足元の絨毯に胡座(アグラ)をかいて座る陸を見つめた。
「ななちゃんて、お父さん似?」
「たぶんね」
唐突な質問に戸惑ってしまう。
「あの、たぶんって言うのは…
私、お父さんに会ったことないから。
でも、お母さんにはあんまり似てないから、たぶん…お父さん似なのかなって思う」
「そっか」
「ついでに、たぶん。私ってハーフなんだと思うんだよね」
「だろうね。初めて会った時からそうだろなって思ってたよ」
陸はそう言って優しく笑う。
何て優しく微笑む人なのだろう。