どうしようもないくらい好きでした(仮)
正確には一度だけ。
それもほんの一瞬だけ。
私は父の顔を見たことがあった。
それは中学生の時。
何気なく見つけた一枚の写真の中で、今よりもずっと若い母の隣りに親しげに並び、寄り添うように笑う一人の男の人。
髪は金髪に近い明るい赤毛で、瞳の色もまた、淡いヘーゼル色だったと思う。
その写真を見つけた時、私は何故だかとても悪い事をしてしまったような罪悪感と、自分自身について、ようやく何かが理解できた…そんな複雑な気持ちになったのだ。
母に確認した訳ではない。
それでもその人が自分の父親なのだろうと、その時の私は確信した。
私の容姿はまさに、それが真実なのだと示していたからだった。