どうしようもないくらい好きでした(仮)
その時の一度だけ。
その後、その写真がどこにあるのかも知らない。
慌てて元に戻した記憶はあるが、まだ母が持っているのだろうか。
「私、自分の事すらよく知らないんだよ。たぶん…ってしかね」
「気になる?」
「別に…今更かな」
「それなら、たぶんでも良いんじゃない?」
陸はそう言って立ち上がると、私の隣りに座った。
いつものように、優しく髪に触れる。
大きな陸の手は、私の心まで覆うように暖かくて心地良い。
私は陸の顔を見つめていた。