どうしようもないくらい好きでした(仮)
「例えば、ななちゃんが日本人じゃなかったとしても、俺にとってはそんな事、どうでもいい事なんだ。
髪の色が何色でも、肌の色が何色でも、瞳の色が何色でも…そんな事、どうでもいい事なんだよ、俺にとっては」
真っ直ぐに返される陸の視線は、その言葉の重みと共に私の心を捕らえて離さない。
「もっと言えば、例えば性別が今と違っていたって構わない。
ななが居ればそれでいいんだ。俺は、君の事が好きなんだから」
私には、返す言葉が見つからない。
いったいどんな言葉が言えただろう。
こんなにも真っ直ぐな感情を、私は受け止めるだけで精一杯だったのだ。
陸という人間の、大きな大きな優しさに触れてしまった今、この言葉に値する程の感情をぶつけてしまったら…。
大切な物が壊れてしまう気がしていた。