どうしようもないくらい好きでした(仮)



驚いたような陸の顔。


振り向いた彼女の視線は、間違いなく私に向けられていた。
そこから感情を読み取ってしまったら、今にも吐き出してしまいそうな程露骨でドロドロとした物だろう。


私は陸と目を合わせると、そのまま、まるで何も無かったように。
何食わぬ顔で視線をそらし歩きだした。


終電はもう行ってしまっただろうか。


何も考えるのは止めよう。


そう思っているのに、頭の中では目まぐるしい程に思考がグルグルと回りだす。


歩く速度も、気付かないうちにドンドン早くなっていた。


そこから逃げ出したかのように。
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