3本の長春花のおわり
3本の長春花のおわり
カラン──
店の扉があいて、大きめの鈴の音を軽やかに響かせたあいつがあたしを見て手を振った。
声をかけた店員と少し言葉を交わし、こちらに真っ直ぐに歩いて来て、向かいの席に腰かける。
「遅くなった。ごめん」
「いいわよ、別に。
どうせ寝てたんでしょ」
「ばれたか」
笑って見せた彼を見つめながら、くるり、とアイスティーのストローを回した。
先ほどの鈴よりは小さなカランという音がする。
今日みたいな気候が続いたら、今月の終わりには去年よりずっと早く桜が咲くかもしれない。
この前までマフラーや手袋の防寒具が手放せなかったとは思えないほど暖かくて、今日なんかスプリングコートさえもいらないんじゃないかと思わされる。
それくらい暖かいうえに、こいつなりに急いで来たせいで暑いらしい。
目の前の幼馴染はあたしと同じく冷たいアイスティーを頼んだ。
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