3本の長春花のおわり
「んじゃ、またね。
そっちが引越しして落ち着いた頃に遊びに行くわ」
「わかった」
「先輩にもよろしく」
手をひらりと振って、歩き出すのは別の道。
あたしを変えた彼とは、別の道だ。
ハルはあたしの春じゃなかった。
優しい関係に甘えて、ずっとそばにいたけど、もうそれもおしまい。
だけど、いつか本当の春が。あたしだけの春が見つかるはず。
おわりは、はじまり、だから。
「とりあえず、新生活頑張るとしますか」
んーっと大きく伸びをする。
どこからか優しい花の香りがしてくる。
あたしの横を、新しい春の風が吹き抜けていった。
fin.