気になる木の 木になるこころ
短編
「うるさいよぉ〜。臭いよぉ〜。怖いよぉ〜。」


毎日毎日、耳元でブーブーうなり声をあげられ、毎日毎日、くもった灰色の煙を吹きかけられる。

毎日毎日、僕のそばを車が猛スピードでかけ抜け、毎日毎日、その風にあおられ、僕の体は前後左右へとゆさぶりまくられる。


「ちくしょう〜。一体誰がこんなとこに植えたんだ。僕は頼んだ覚えがないぞ。僕もともとお山育ち、こんな空気の悪いところに離れて立ってるなんて冗談じゃない。」


そう。僕は一本の木。車が通るすぐ脇にポツンポツンと植えられている木のうちの、一本の木。

僕はなんにも考えてないように思われてるかもしれないけど、本当に辛いんだ。
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