気になる木の 木になるこころ
「僕はもう助からないと思う。体も真っ二つに折れてしまったし、一生に一度のお願いも今、使ってしまったし……。だけど、できることなら一つだけ君に最後のお願いを託したい。」


「…なぁに?」


「僕たち木は、みんなにとって、とってもとっても大切な存在なんだ。悪い空気を綺麗にしたり、僕たちの住む地球が砂だらけの星になるのを防いだり。昆虫やお魚、人間を含めた動物たちが仲良く生きていくためには、欠かせない存在なんだ。だから、僕たち木の仲間のことを大切にしてほしい。」


「……。わかった。約束する。」

「そ、それと…。」

「なぁに?」

「あつかましいけど、握手だけ…いいかな?」

「……いいよ。」


涙ぐみながらそう言うユウちゃんの手に僕の緑の手を乗せる。はじめて触れる、ユウちゃんの手。今まで触ってくれてありがとう。
一期一会。これで最後。
でももう思い残すことはない。


そして、僕は深い眠りについた。
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