あたしの証~番外編~
帰りに俺は哲に文句を言って、飯を奢らせたことは言うまでもない。



それから約束の期日が来て、俺はきょうさんのタトゥースタジオへと向かった。

今日は哲はいない。

こないだ地図を書いてもらったから、その通りに一人で来た。



だけど、そこにあったのは普通のマンション。

当たり前だが、看板も何もない。


……おいおい、こんなとこにまじであんのかよ?


半信半疑になりながらも、俺はメモ通りに階段を上がって角部屋に向かう。





そこには。


【TATOO STUDIO】


シンプルな文字でそう書かれていた。



え、まじなのかよ。
こんなとこでやってんの?


本当に?



そのことに吃驚しながら、俺はインターホンを押す。

店に入るのに、普通インターホン押さねーだろ。



一人、心の中でそう突っ込む。 


すぐにガチャっと扉が開いて、きょうさんが顔を見せた。



「あ、こんにちは」


「おー来たか。勝手に入ってよかったのに」



な、なんて無用心な。

確かに鍵開ける音しなかったけども。
< 141 / 473 >

この作品をシェア

pagetop