あたしの証~番外編~
「…貴から聞いた、どんなの入れたいか。
なあ、そんなの入れなきゃならない理由って何?」


「…言えないです」


「…そうか。まあ、いい。でも、もしそん時したいことなかったらうちが雇ってやるよ」



まだ、やりたいことなんてない。


俺には今やることしか見えない。


しほに木下あかりを裏切る予行練習をして。

タトゥーを入れて、揺るぎないモノにして。



……全ては木下あかりを裏切る為。




……じゃあ、木下あかりを裏切った後。

俺に残るモノって…何だろうか?



達成感、なのだろうか。




18になった時。


……俺はこのTATTO STUDIOの扉を叩くような気がする。


その予感は、現実のモノとなることを、俺はまだ知らなかった。




きょうさんは、俺のしたいこともきっと、わかっていたはずなのに。


なのに、何も言わなかったんだ。



荒れた俺を支えてくれたのは、きょうさんだった。
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