あたしの証~番外編~
返事をすることもなく、俺は携帯の電源を落とすと携帯を閉じた。



「もういいか?」


「はい、大丈夫です」


携帯をポケットに入れると、俺はうつ伏せに台に寝転がる。



それから、きょうさんが俺の筋彫りのままだったあのタトゥーに色をつけていった。



全てが終わってから、出来上がったタトゥーを見て俺は感嘆の声をあげた。



俺の体に入っているのが信じられないぐらい、綺麗で…色鮮やかな薔薇がそこには入っていたから。


赤黒く、不気味な色気を放つその薔薇。




「どうだ、気に入った?」


「……はい、凄く」


「憎い感情に飲み込まれるなよ」


「…え?」


きょうさんは、悲しそうに眉を下げると

「…憎むことで解決されることは何もない」


そう言った。



「……わかってます」



そう、わかってるんだ。

だけど、俺の為にはやらなきゃならない。



14歳の、傷付いた過去の俺の為に。


例え、今の俺が毎日に満足していようとも。

過去の、あの俺は。


決して、許せないだろう。
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