あたしの証~番外編~
――――――――…



「本当に夏樹が働くなんて思わなかった」



卒業間近の学校は、どこか切ない感情にさせる。
きょうさんの元で働くことを哲に告げると、哲はそう言って机の上に座った。



「それを言うなら俺の方だ。まさか、哲が本当にアパレルで働くだなんて思わなかったよ」


元々、哲の買い物についてったりして仲良かった店員がいるJUNって言うブランドに哲はコネで入った。
面接もほぼ顔合わせに近い。


軽い冗談で言った俺のあの一言で、哲は決めたのだから。


「ホストでもよかったけどね」


「はは、まだ言うか」


「まだ言うよ。だって、ハーレムじゃないか」


「……はあ」



こいつの脳ミソは、本当に中学の頃から変わらない。
女のことだらけ。



哲が特定の女と付き合うとか、あんのかな。




携帯をいじる哲を、俺はじっと見る。

その視線に気付いた哲が、少し後ずさった。




「……何、そんな見つめて」


「…食わないから安心しろ」


「夏樹、最近エスパーだよね」


「違う、哲がわかりやすいんだ」



そう俺が言うと、そうかなあと哲は首を傾げた。
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