あたしの証~番外編~
俺はそんな信司を訝しげな顔で見る。


「喧嘩ぐらいなんだっつーの」


「……」


「自分で入れたんだから自信持てよ」


「俺、父親がどうしてあんな切れるのかわかんねえの。
入れること、悪いと思ってないから親不孝だって言われてもわかんねえっつか、ピンと来ねえっつうか」


「あーーあるある。
でも、いいんじゃね?」


信司はケラケラ笑いながら、あっけらかんと言う。


「だって、もー考えられる歳にはなってるしな」


「…そうだよな」


俺は自分の意見が肯定されたことで、ほっとする。

「でもさ」


それを哲の言葉が遮る。


「俺、親父さんの気持ちわかるよ」


「え?」


俺と信司が哲を見ると、哲は苦笑いしながら続けた。


「だって、自分の子供が自らタトゥー入れて傷つけるのやだもん」


「やだもんって」


「自分はいいけど、子供は別と言うかなんつうか。
まー自分の子供には不自由なく生きて欲しいと言うか」
< 155 / 473 >

この作品をシェア

pagetop