あたしの証~番外編~
「…不自由?」


俺は哲のその言葉を繰り返す。

不自由って何だ?
俺、不自由なんかしてねーけど。


「夏樹はわかってないんだよ、まだ。
タトゥーあると温泉は無理だし、公共の場所は入れない。
それにジムとかも無理。
あるだけで、差別的なものもある。
保険とかも入れなかったりするらしいしね」


「………」


そんなに色々デメリットってあったのか?


「多分、これからそういうの色々経験するよ。
子供産まれたら特に思うはず」


「……」


「だから、親父さんの気持ちわかるよ。
でも、夏樹の気持ちもわかる。
俺は好きにしていいと思う」


「言ってる事、めちゃくちゃ」


俺を諭すように言う哲に、信司が突っ込む。
だけど、俺は哲の言いたいことがわかる。


信司は復讐のことを知らないから。
だから、哲の言いたいことの意味をわからない。


哲は俺を心配してるだけなんだ。


「もしさーー家追い出されたら俺と暮らそうよ」

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