あたしの証~番外編~
卒業式を終えた俺は、ボタンがなくなった制服のまましほに会っていた。


「…夏樹、相変わらず人気だね」


「ふは、まあね」


俺の制服を見て、しほは呆れたように呟く。


「俺…前にも言ったように今は復讐の為にしか生きてない。
それが終わるまでは、しほのことも考えられない」


「…うん、知ってる」


切ない顔をしながら俯くしほ。
その顔を見る度、胸の奥がちくんと痛む。


「ごめん」


「いいんだって。
私が好きで夏樹といるんだ。
だから、好きにさせてよ」


「……うん」


そう言っていたけど、しほの顔はうまく笑えていなかった。


「それだけかな」


「それだけ」


「じゃあ…私行くね」


それだけ言うと、しほは踵を返して俺の元を立ち去って行った。


しほ。

いつも、いつも。

辛い思いさせてごめんね。


それで…木下あかりにああ言ってしまったんだよね。


それは…俺の所為でしかないから。

責めることなんて出来ないから。
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