あたしの証~番外編~
「もちろんですよ」

精一杯の笑顔でそう言うと、俺は仕事に移った。
まだ何か言いたげなきょうさんだったけど、無理に聞こうとはしない。


きっと、俺を信用してくれているからだろう。


だからこそ、胸が痛い。



これからあかりがここに姿を見せなくなったら、別れた事なんて簡単にバレるだろう。
だけども、俺の口からは何も告げたくなかった。



仕事に身が入らないまま、結局その日は終わった。
きょうさんがご飯に誘ってくれたが、断って俺は帰路につく。


どうしても。
考える事はあかりの事。


あかりの最後の泣いた顔が頭から離れない。



手放して。
好きだと自覚した。


復讐して。
俺に残ったモノ。



虚無感だ。







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