あたしの証~番外編~
「すっかり菜々美ちゃんに尻敷かれてやんのー、拓」

その様子を思い出してるのか、哲が笑いながら話す。


菜々美ちゃんって子と、あんま話したことないからわからないけど、哲の話じゃ花蓮総長の麻美ちゃんの後を継いだっていうから…。

尻に敷かれるのもわかるというか、なんというか。


一応、総神會のメンバーだったのに拓斗も優しいからな。


「なあー、夏樹ってもう彫れるの?」

「んー。まだかな。
そろそろとは言われてるけど」

「もー二十歳かー」

「早いよな」

「早過ぎ。
もし、彫れる様になったらさ、教えてよ」

「ああ、教える」

「第一号、誰になるんだろうなあ」

「……」


俺があかりに彫った事は哲に言ってない。
簡単にしか説明してなかったから、どういう風に今まで過ごしてきて、どういう付き合い方したかは知らない。

…しほの事も。



「第一号は…あかりだったんだ」


そう、ぽつりと口にする。


哲は強張った顔で、俺を見た。
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