あたしの証~番外編~
「…筆記体で“Natsuki”って彫ったんだ」

「………」

「それが俺の復讐」

「………ま、じか」



相当、驚いたのか。
哲は言葉を探しながら、どうにかその言葉を吐き出した。



「最低だろ?」


本当に、最低。
嘲笑すら零れてしまう。



「…ああ、最低だな…」

「………」

「だけど…それだけ、夏樹の傷も深かったんだよな」

「……これからきっと、あかりはそのタトゥーを見る度、俺を思い出す。
簡単に消す事なんて出来ない。
最高で、最低な復讐」

「……夏樹…。
あかりちゃんに…忘れて欲しくなかったんだな」

「…え?」



哲の言う言葉の意味がわからない。


哲は俺を見ると、眉を情けなく下げて言った。



「何で夏樹は“Natsuki”ってタトゥー彫ったんだよ?
大切だと思った人の記憶に自分を焼き付けたかったんだろ?」

「……お、れを…?」



哲は眉を更に下げて頷いた。


俺すら気付いていなかった事実。
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