あたしの証~番外編~
それまで笑顔だったきょうさんは、その内容を見て真顔になる。


「……これ、彫ったのか?」

「………」


きょうさんがそう言うのもおかしくはない。
紅い薔薇に俺の名前。


腰にあったし、普段は洋服で隠れてるから昔俺が彫ったのと同じデザインって事は知らないとは思うけど。


「紅い、薔薇…、なあ、これって」

「違います」


きょうさんがハッキリ言う前に、俺はそれをバッサリと否定した。


「いや、でも」

「あかりは俺に復讐したいんだと思います」

「何で、あかりちゃんに限ってそんな事…」

「俺ならあり得るって事ですか?」

「っ!いや、そう言ってるんじゃなくて…」

「きょうさん、俺もう傷付きたくないんですよ。
裏切られんのも、信用するのも、きっついんです」

「……なつ」

「だから、今回あかりにこれを彫ったら終わりです。なにもありません」


まだ何か言いたそうだったけど、切ない顔のままきょうさんは口を閉じた。
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