あたしの証~番外編~
「そうしたら、どうしてまたこんなタトゥー彫るんだよ」

「わかりませんよ、それは」

「絶対、あかりちゃんはなつの事好きだって」

「もう、辞めて下さいよ!」



必死にきょうさんがそう叫ぶのを一喝する。
静まり返る室内。

きょうさんの顔は俺なんかより、余程苦しそうだ。



「……簡単に…傷ってのは癒されないんです。
あかりから受けた傷ってのは、ずっと残ってるんですよ」



好きだって想ったあかり。
虐められていた俺は、あかり、ただ一人が希望の光だった。


何も、いらなかった。
何も、望まなかった。


でも、そのあかりは俺の希望を打ち砕いた。



そして、他の人と笑っていた。



“なつおってバカよね”って。
そう、言ってる様な気がした。



ただの被害妄想かもしれない。
でも、俺はそれで復讐を決意したんだ。



それから、数年後。
あかりは同じ様に、待ち合わせをすっぽかした。


傷を更に抉られた俺は。
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