あたしの証~番外編~
……ガム。
上履きを持とうと、ガムをついてないとこ掴むと中々持ち上がらない。
力を少し入れたら、今度は裏全体が糸を引いた。
……丁寧に裏底全面にガムを貼りつけている。
………陰険だよ…。
そう思うけど、何も言い返せない僕はその上履きを持ってトイレに向かった。
石鹸で滑らせながらガムを取ろうとするが、中々しぶとくて取れない。
泣きそうになりながらガムを取ってると、頭上でチャイムが鳴り響いた。
あっ、授業……!
中途半端に取った上履きを持って自分の教室に急いだ。
静まり返った教室。
ドキドキしながら扉を開ける。
「おい、戸川!遅いぞ!遅刻した理由はなんだ!」
「…………寝坊です」
本当は上履きのせいだけど言えなかった。