あたしの証~番外編~
刺青
退院当日。
りなはご馳走を作るからって朝からはりきっていたらしい。
あかりが嬉しそうにそう教えてくれた。
りなの事だ。
きっと、食えないぐらいの大量のご馳走を作ってるんだろう。
想像して、顔が緩む。
タクシーに乗り込むと、俺はタバコに火を点ける。
少しだけあかりに見えた緊張感。
何か、吹っ切ったあかり。
なつきの事。
って事は。
「なつきに会いに行くのか?」
何も言わないあかりにそう尋ねると、落ちるんじゃねえかってぐらい目をぱちくりとさせて俺を凝視した。
少し考えたらわかるだろ、そのぐらい。
弱弱しく返事をするあかりに畳みかける様に
「お前はいいのか、それで」
そう聞く。
だけど、あかりは真っ直ぐに前を向き、しっかりとした声で言った。