あたしの証~番外編~
「そう、あたしが今ここにいて、生きてるって証」


だけど、一つだけ。


「そんなもんなくたって、あかりはもう地に足つけてるだろ?」


本気で俺はそう思っていた。
あかりは咲夜の事を、きちんと愛せていた。

前へと歩み出した。

…その証がなくたって、きっと平気のはずだ。


あかりは、少しだけ寂しそうな顔を見せると口を開く。


「ううん、あたしはまだまだ彷徨ってる。
…無意識にね、あたしに今はないこの証の場所を触ってるんだ」


それは、知ってた。
ぼーっとテレビを見てる時とか、そんな何気ない時に触っているのを。

それが、無意識だって事も。


「何よりあたしの精神安定剤なの」

「入れるのは俺じゃダメなのか?」

「…ありがと。
でも、これはなつきでしか入れられないんだ」

「……わかった。
あかりが決めたなら俺はもう、言わないから」


きっと、あかりの中でのそれは特別なモノなんだな。

俺が入れたとしても、そんな風に無意識に触ったりはしない。
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