あたしの証~番外編~
目をパチパチさせると、木下さんは受け取らない僕に慌てて言った。


「あっ、ちぎって食べたから、汚くないからっ!」



「………ありがとう…」


「どういたしましてっ」







そう、言った木下さんの満面の笑みに僕は一瞬で恋に落ちた。






それから僕は毎日学校に通った。

どんなにいじめられようとも、木下さんを一目でも見られると辛い気持ちもすぐに吹っ飛んだんだ。




木下さんに彼氏がいたのはわかってたし、望みがないのはわかってた。
だけど、それでもよかったんだ。





報われない初恋だったけど、幸せだったんだ。

そんな初恋を木下さんは踏み躙ったんだ。
< 44 / 473 >

この作品をシェア

pagetop