冷たい君が一途に好き*幼なじみに片想い*(仮)
*反則、だよ… side萌加
ーーHR最後のチャイムが鳴り終わる。
あたしはそりゃもう異様な速さでスクバに荷物を詰め込むと、タタタッと桃江の元へと向かっていく。
「よしじゃあ桃江、あたし風麻とちゃんと話してくる!ちゃんと話せるよう祈ってて…!」
「はいはい、祈っとくから。ほら、早く行かないと学校出ちゃうよ~」
「…!それはだめだ! じゃあ桃江!また明日!」
「頑張れ、萌加」
桃江の応援の言葉を背に、あたしは5組目指して人をかき分けながら廊下を歩く。
「すいません、ちょっと通して…っ」
ぶつかりそうになる度にそう言いながら進んでいくと、階段を降りようとしている、風麻を見つけた。
わわわっ!帰っちゃう…!
「ふ、風麻っ……!待って、帰らないで…!!」
あたしは、周りを気にしてなくて。人がいようがなんであろうと、風麻に届いてほしくて。
無意識のうちに大きな声で呼んでしまったらしい。
周りがざわめき、あたしを見ている。
すると、風麻にあたしの声がちゃんと届いたらしくこちらを振り向いて。
あたしの目と風麻の目が交わった。