MILKCAT
「...、」
――パチリと目を開ければ白い天井にぶら下がったカーテンレールが目に入った。
...当たり前に保健室で寝たから目覚めた場所も保健室なのだけれど、明るかったはずの室内は暗かった。
「...?」
上体をゆっくり起こしてカーテンを横に開けば見える窓の外の景色は黒かった。
...ポケットに手を突っ込みスマホを取り出して見れば7時。
「...やっちまった」
今日は確かミルが顔を出しに来ると言っていたのに。
フワリフワリと揺れる髪をガシガシと掻いてベッドを飛び降りる。...カバンはもういいか、と保健室の窓から直接外に出れば頭上に怪しい雲が広がっていた。
――春とはいえまだ夜は寒い。それに陽が落ちるのも早い。それだけでは無く天気も悪ければ尚更夜は暗い。
ぼーっとその雲行きを眺めているうちにもポツリと冷たい水が俺の頬に落ちた。
「やべ、」
まだ小降りなものの一つ一つの雫が大きい。...土砂降りの中帰るのはごめんだと走りだした俺と共に大量の雫が地面に叩きつけられた。
「...最、悪っ」
――ザーザーと音が鳴り響く大雨の中傘も差さずに家まで走った。