MILKCAT
街に出ればガヤガヤと人が行き交う。...丁度、昼休憩ぐらいの時間だろうか。
コンビニに向かったり弁当片手のスーツを身に纏うサラリーマンやOLの姿が多く見える気がする。
『――"ユウマ"』
クイッと後ろ手のシャツの袖口を引っ張られて足が止まる。
ゆっくりと顔を向ければフワリとまた髪が揺れた。
「...今日も学校サボってるの?ミル」
可愛らしくコテンと頭を横に倒した美留(ミル)はサラリと揺れる艶やかな黒髪を一つに束ねていた。...俺とはまた違う髪質。
『サボってるのはお互いでしょ』
「...」
何も言い返せない俺を見てクスリと笑う彼女は風台の不良が唯一認める女だ。
いわゆる"姫"とか言うやつ?
...正直"姫"という存在をいまいち理解していない俺は、未だにその単語に対して頭の中に白いフリフリのドレスを着た女が浮かぶ。