雨とピアスと。
雨とピアスと


ただ、ただ、雨の中歩いていた。


何も思わず、考えず。


ふと、声が聞こえた気がして立ち止まった私。


声の聞こえた方へ顔だけ向けた。


そこにはフードを被りしゃがみこんだ男がいた。


「ねぇ」


「なに?」


私はなぜだか返事をしていた。


男は少しの間の後、口を開いた。


「何か俺ら似てない?」


「意味わかんないけど?」


男は乾いた笑い声と共に、こう言った。


「同じ匂いがするってこと」


私は意味のわからないことを言う男に
苛立ち、無視をして歩きだそうとした時。


前に進めなくなった

それは、男が私の腕を掴んだから。
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