一匹狼な彼氏と能天気な彼女
噂なんだから覚える必要なんてないじゃん。
…なーんて思ってるんだけど、あたしってなぜか記憶力が人一倍よくて、島崎の噂は勝手に脳内に書き込まれてしまった。
どうでもよくて消したい記憶は山々なのに、どんどん増え続ける一方。
おーい脳みそさん、あんたは限界という言葉を知らないのか…?
「島崎って恐いよねー。」
「私、こないだ何もしてないのに睨まれたー!」
「何それー!」
「もー、同じクラスとかマジ最悪~。」
「あたしも思ったぁー!」
いつの間にか、あたしたちの周りにはクラスの女子全員が集まって口々に島崎くんのことを言い合っていた。
…なんの集会ですか、これ。
ていうか皆さんもう少しお静かに…
「ね?香瑠も恐いと思うでしょ?」
梨紗からいきなり話を振られる。