一匹狼な彼氏と能天気な彼女
「うぅ…すいましぇん……」
「………可愛いなコノヤロー。」
可愛いだってー………あたしが?
まぁ、いっか。
「で、香瑠はなんですごいと思っ…」
ガラッ
後ろのドアが、梨紗の声を遮るように勢いよく開いた。
クラス全員の視線がそこに集中する。
そこには、今朝と同じ無表情で制服を着崩した金髪くんが立っていた。
教室が一瞬にして張り詰まった空気になる。
「ボソッ おい、お前島崎に挨拶しろよ。」
「ボソッ はぁ?嫌に決まってんだろ。そう言うお前がしろよ。」
「ボソッ 俺だってやだし。」
近くにいる男子が小さな声でそんなことを言っている。