一匹狼な彼氏と能天気な彼女
呆れ半分で、指を折りながら話す香瑠の好きな理由とやらを聞く。
「あっ、あとね、お母さんの美味しいお弁当が食べれるからっ!」
っ……
"お母さん"
その言葉で身体が少し揺れた。
「んー、こんくらいかなぁー。」
「…ん。」
こんくらいと言いながら、ざっと10はあることはあえてスルーした。
「陸斗はー?」
「え、俺…?」
「うん俺。」
何言ったらいいんだ?
10も理由なんてねぇぞ。
…てかまず理由を言うものすらねぇしな。
香瑠には見えないように自嘲気味に笑う。
「…例えば?」
ヒントを得るため、逆に質問した。