素直じゃなくて何が悪い


しばらくわーわー言ってた詩帆と中込くんも加わり、もうそれは順調にカレーは出来上がっていった。



できたカレーを食べて中込くんが「やっぱり外で食べるカレーはおいしいなー」とまたもや典型的なセリフを言っていたが、たしかに皆で食べるカレーはいつもよりおいしく感じた。





お昼のあとは自由時間になって、男子はそのだだっ広い芝生で走りまわって遊んでいて、女子は日陰のほうでお喋りしている人達が多い。


私と詩帆も木陰で喋っていたが、詩帆はトイレに立ってしまって、暇になった私は、どうしても工藤くんを探してしまう。



すると後ろから、

「君、ひとり?」


なんだ、このナンパみたいなセリフは、と思って振り返ると見覚えのない男子。


茶髪にピアス、顔は整っているけれど遊び人感は否めない。やっぱり私には見覚えのない人だ。



「ちょっとさ、お話しない?」




怖い



うちの学校のジャージを着ているから、同じ学年であるとは思うけど、私は初対面の男の人と話すのが苦手だ。




私が何も言わないのをいいことに、彼は私のすぐそばに腰を下ろした。




彼は隣でベラベラ話し始めたが、全然耳に入らず私はただひたすら詩帆が早く帰ってくることを祈ってた。
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