素直じゃなくて何が悪い
今日の相談内容は、夜にすぐ寝る方法。
"夜ですか...、私はいつも読書なんかをしてから寝ますね。あとは、アロマなんかをたいて心を落ち着かせたり。
相談者さんは、何か眠れないような悩みや不安があるのではないのでしょうか。
だったら、それを解決するのが1番だと思いますけどね。
それでは次に生徒指導から落し物の連絡が入っているので、連絡します―――"
なんとかお悩み相談コーナーも切り抜け、教室に戻ると、友人が"お疲れ~"と、ほんとにそう思ってるか?と言いたくなるほど、かったるそうに言ってきたが、私も負けず劣らず"ありがと~"と無愛想に返すのだ。
「ところで詩帆、次の授業なんだっけ?」
「さっき授業変更だとかいって英語になったよー。」
「はっ?よりによって私がいないときに。辞書ないんだけどどうしよ。」
「ドンマイだね~、あなたの愛しのダーリンにでも借りてきたら?」
「詩帆さん、そんな真顔で気持ち悪いこと言わないでください。」
そう言いつつも、隣のクラスに足が向いてる私は、どうにもこうにも素直じゃない。
詩帆、あらため永井詩帆(ナガイシホ)は今年になって仲良くなったため、まだつかみ切れてない所はあるにしろ、容姿端麗の外見とは違い、意外とサバサバとした性格が、私のツボにハマり、とてもいい友人となっている。
そして彼女のいう"ダーリン"とは...
「あ、いた...。」
窓側の1番後ろの席で、突っ伏している彼である。
私は遠慮もせずに、そのクラスに入って彼の席をめざす。