三日月蜜柑
えりあし
私はあの人のえりあしが好きだった。
切っても切っても、また伸びて、
比較的、普通の人より伸びるペースが早いあなたは
すぐ切ってしまっていたよね。
もう切らないで!切らないで!
次の日、短くなったあなたの髪を見るの。
ああ、あの長さが
かっこよかったのになって。
そう言える距離にいたら、どれだけいいだろうな。
汗を流す、走っている姿、
走るたびに風に吹かれゆれる綺麗な髪。
みんなに優しい、綺麗な笑顔。
心に響く、低い声。
いつだって、うん、
遠くから見てるだけ。
私はあなたの少しのびたえりあしが
すきだった。