背中に翼をもったキミ。
私はその後、蒼井くんと別れ、鍵を返し、
嬉しくてルンルン気分で家に着いた。
そのままベッドにダイブした私は
いつの間にか眠っていた。
そして、夢を見ていた。
それは、高校の入学式から何日かたったある日。
私は親友のなっちゃんと一緒に部活見学をしていた。
そこで私の目を引いたのはたった1人、
風をきって走る...蒼井くんだった。
まるで飛んでいるかのような、軽快な走り。
私は、蒼井くんの背中に翼が見えた気がした。
私はもっと近くでそれを見たいと思い、
陸上部のマネージャーになると決めた。
なっちゃんも私と一緒に
陸上部のマネージャーになった。
それから私は部活を通して、
顔を合わせば話したりするぐらいの仲になった。
私は彼を知っていくうちにどんどん好きという
気持ちが強くなる一方だった。
とても明るく元気で、誰にでも優しくて、
寝癖のついた髪の毛も、
笑うと見えるちょっとした八重歯も、
走っている姿も…...全てが愛しくて。