この手を握りたかったから
嬉しかった。

当時から私の中でも、悟の印象は良い方だったから。

多分、クラスの中で「カッコ良いと思う男子ベスト３」くらいには、常に入っていたんじゃないかと思う。



でも、その当時の私は、一つ年上のバスケ部の先輩に夢中で、今となっては笑っちゃうような幼い駆け引きに、日々勤しんでいた。

その先輩と結局正式にお付き合いすることはなかったけど、なぜか先輩も思わせぶりな態度を見せるから、私はそっちに気を取られ、残念ながら悟が向けてくれていた視線には、まったく気がつかないまま、三年間を終えてしまった。



高校、大学は別々だったから、再会するまでの間、お互いそれなりに恋愛経験を積んで来たとは思う。

それでも悟が言うには、中学時代の私との思い出に何やら心残りがあるらしく、私の顔を見ると今でも思い出して切なくなることがあるんだとか。

聞いても、内容までは、なかなか教えてくれないんだけど。
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