この手を握りたかったから
照れ臭そうにしている様子がカワイイ。

今でさえ、普段の悟は飄々としたタイプだから、無防備にこんな顔を見せる相手は、私だけなんじゃないかと思う。

そう思うと、ちょっとした特等席を手に入れた気分だ。



「中学、高校くらいの時ってさ、俺、多分、今よりカッコつけてたんだよね。」

「そうなの?」

「兄貴の影響とかもあるんだろうけど、ヘラヘラするのはカッコ悪いとか思ってたから。」

「ふ〜ん。」

「ただでさえ、目つきキツいから誤解されやすいのに、今考えたらアホだよな。」

「ホントはこんなに優しいのにね。」



そう言われてみると確かに、切れ長の瞳にスラッとした細身の体型が神経質そうに見えてしまうのか、それほど話しやすい印象ではなかったかも。

女の子のグループと、そんなに仲良くしているイメージでもなかったし。
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